また、インターネット自体を通信の産業と考え
小学校5年社会科 私の生活と情報通信
これらの学習で、学習指導要領の範囲の学習として授業時間と考えられる学習が展開できる。特に、社会科の目標には「国際社会に生きる」ということがあり、海外との交流も目標達成の1つの手段である。インターネットは、海外に知り合いや姉妹校なくとも交流をすることが出来る。
U.「MADE IN JAPANをさがせ」 (平成2年の実践) 小学校5年2学期の社会科は、日本の工業について、鉄鋼業・自動車工業・電気産業など日本を代表する産業と伝統的工芸品について学習がある。その際、海外とのつながりについても学習する。海外からの輸入品については、教科書や資料集で原料・製品が多いと学習する。そして、日本からは製品が輸出されるが、貿易摩擦の大きな要因となるまで輸出超過になるからには、日本製品が海外で売れるには何か特徴がなるのでないかと児童に投げかけた。
しかし、これを説明できる資料はすくなく、外国の方に直接日本の工業製品に付いて質問をしてみることにした。国際化教育の1つのステップとして、外国を身近感ずることである。児童の中で直接外国人とコミュニケーションを取ったことのある者は非常に少ない。インターネットといういう手段を通して、文字だけであるが外国と接する事が出来る。
授業では、国際パソコン通信について説明をした後、クラスでどんな質問をしたらよいのか意見を出し合った。社会科の学習の一環で行うので、児童の中では社会科係が中心になって意見が次のようにまとまった。
私たちは、東京の小学校の5年生です。今、社会科で日本の工業について勉強 をしています。 海外でどのような日本の製品が使われているか調べることにしました。 次の質問に答えて下さい。 1.あなたは日本の工業製品をなにか使っていますか。 2.どのような 日本の製品を使っていますか。また、どうして自分の国のもの でなく日本製品を買われたのですか。 3.その値段は安いですか。また、使いやすいですか。 4.日本の製品は、長持ちしますか。 5.日本の工業についてどう思いますか。 |
そして、日本製のものは合州国製よりも人気があり、長持ちし安いという回答を得ることができた。日本では、使い捨て時代を言われているが海外で18年以上もカラーTVを使っていると日本製品の長持ちから、物を大切に使うことの大切さを感じた児童もいた。
日本製品について、「アメリカ人は、まず、製品を作ってから、市場を見つけようとする。日本人はマーケットのニーズをうまく把握して、それにふさわしい製品を作る。既に存在している製品の改良版を買おうというとき、日本製品を捜す。」というメッセージが送られてきた。私は、内容を平易に児童に説明した、すると児童からのメッセージのお礼とともに、「アメリカ人は、製品を作ってから市場を見つけるそうですけれど、その製品がよくなくて市場が見つからなかったら、その製品は、どうなるのですか?」となかなか鋭い質問が出てきた。その質問に、ポケットベルやポストイットという具体的な商品名説明され会話が進んだ。
以下は、フロリダの中学からの回答である。
フロリダは、クリアウォーターにあるオークグローブミドルスクールのコンピュータークラスです。クリアウォーターはメキシコ湾の町・タンパの西、約20マイルほどのところにあります。あなたがたの質問の回答として、
1)家庭と学校で、いくつか日本製品を使用しています
2)例えば、任天堂、テレビ、VCR、自動車洋服、エレクトリックピアノ、ミニバイク、ジェットスキー、時計、ラジオ、靴、コンピュータなど。
3)日本製のものは合州国製よりも人気があり安いのです。
4)日本製の靴は早目に履きつぶれるようですが、たいていは合州国製よりも長持ちします。
5)日本人は私たちより懸命に働き、製品に誇りを持っているような気がしています。 日本人は、日本以外の国が発展させてきたものを模倣することがうまい、そうした傾向があるように思います。
さて、今度はいくつか質問をさせて下さい。
・あなたがたは輸入品をたくさん使用していますか?
もしイエスなら、どんなものを?
・余暇に何をしていますか?
・どんなところに住んでいますか(一軒屋かアパートか)
・大半の日本人はまだ日本の習慣を使いますか?
・どんな食べ物が 好きですか?
・あなたがたの学校について、教えてくれますか
得た回答より、多くの日本製品が海外で使われていることが分かり、私たちの生活を支える輸入製品や日本の工業製品の特色が理解できた。そして、児童はアメリカからの質問の回答作りを始めた。アメリカらの食料品の輸入の多いのは学習したが、身の回りに製品としてのアメリカの物が少ないことや日本にあるアメリカ料理はの質問に、ハンバーガー以外思い浮かばないことなど知らないことがたくさんあると児童は実感した。他の国から見た、日本の習慣とかなにか。と言う質問に、改めて日本の文化を考えることが出来た。国際パソコン通信を活用したことにより、自分の国のこと、自分達の生活を見直す機会を得ることが出来た。
V.世界の中の日本(平成5年の実践) 学習の導入で児童に、インターネットを使って質問を出す前に、知っている国名の書き出す「知っている国調べ」を行い、自分たちが知っている国と世界中にある国の数の違いを驚いた。そして、各自1つの国を調べる「国しらべ」をする。図書室、図書館、旅行のパンフレットなどを参考に調べ、新聞形式でまとめ、印刷し冊子にした。
さらに、日本をもっとよく知るために、世界をよく知るために、班別(6班編成)で世界の子ども達に対して聞きたいことを考える。考えた質問をクラス全体で十数に絞り込んだ。質問は次の通りであった。
- 日本、日本人にどんな印象を持っていますか? (いいところ・悪いところ)
- 日本の旗をどう思いますか?
- 他に国と比べて日本はどんな国ですか?
- 最近、あなたの国のニュースで日本についてどんな話題がありますか?
- どんな、日本の有名人を知っていますか?
- 日本からどんな物を輸入していますか?
- 日本の政治をどう思いますか?
- 日本のスポーツで何を知っていますか?
- 日本でくらしてみたいですか?
- あなたの国で一番人気のあるおもちゃはなんですか?
- あなたの国で一番はやっているスポーツはなんですか?
- あなたの国でおきている環境問題はなんですか?
- その環境問題についての意見。
- その環境問題を解決するためにどんなことをしていますか?
質問を英訳し、次の2つのメーリングリストに送った。
- このまま環境汚染が続くと未来はどうなりますか?
・KIDLINKの中のKIDCAFE
・KIDSPHEREの中のKIDS
多く回答を得るために、KIDLINKの中のKIDCAFEに12月から2月にかけて、書き込みを行った子ども約300人に対して直接インターネット経由の電子メールを使い質問を送った。
得た回答は、翻訳し児童に印刷し配布する。回答数、回答者は、表の通りである。送られた電子メールは、9000行にもおよんだ。回答をくれた方に、電子メールを使い住所を聞き、お礼の意味で絵はがきを70通発送する。絵はがきは、桜の木をバックにした自分たちの写真に日本を象徴するようなイラストかいた。最後に、本で調べたこと、得た回答をもとに分かったことを新聞形式でまとめ、この学習を終えた。
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この学習で、児童の反応・感想には次のようなものがあった。
- 『日本の学校は競争がある』という印象を持っていることは知らなかった。
- 教室を自分で掃除をしないことに驚いた。
- 他の国も日本と同じような環境問題があり、残念だった。
- 環境問題がないという国がない!
- 日本の総理大臣は、他の国から見てなぜあまり目立たないのかな?
- 人気のあるゲームは、ほんどが任天堂で予想通りだった。
- ベットで寝ないと言うが日本の悪い印象だが、 ベットで寝る人もいる。
- 海外でもバスケットボールがはやっている。
- 日本人は、やさしいと言われてうれしかった。
- このような事で、他の国々と交流を深められてうれしい。外国の人は、日本をよく知っている事にビックリした。
- 思ったより日本をあまり知らない国が多かった。これからは、もっと私たちも外国を知り、もっと仲良くしていくことが大切だと思った。
平成3年度の児童の質問
この学習は、2年前にも同様な学習を行った時の児童は次のような質問を考えた。
◎外国から見たJAPAN
外国から見た,日本のことについて質問したいと思います。
- 「日本」と聞いたときの,第一印象は?
- 日本で行う行事でどんなものを知っていますか?
- 日本の国技【相撲】のことを,どう感じますか?
- 日本の料理をどれだけ知っていますか?
- 日本の名所をいくつかあげて下さい。
- あなたが日本に来るとしたら,どこの都市に行きたいですか?又,都市の名前をい くつかあげて下さい。
- 日本の首相(総理大臣)の名前は?
- 日本の貿易についてどう思いますか?
- 日本の国旗や,位置を知っていますか?
- 日本にある会社の名前をあげて下さい(いくつでも良いです)
◎外国の子供への質問 (私たち自身の答)
- 学校のクラスの人数 (37人)
- 給食はあるのか (ある,月〜金)
- 学校での行事 (旭町祭り,運動会,音楽会)
- クラスではやっている遊び (フットベース,サッカー,相撲)
- 教科書についてはみんな1冊もっているか。 (1人1冊ただでもらえる)
- 勉強の科目 (国語,算数,社会,理科,体育,音楽,図工,家庭科,道徳)
- マクドナルドのハンバーガーの値段 (ハンバーガー 1個210円)
- おこずかいは,いくら? (一か月平均1558円)
- オリオン座の4つの星の中にいくつ星が見えるか (5つ)
- 月の模様は何に見えるか (日本ではうさぎ)
- 家で何時間勉強しますか? (平均1時間35分)
- みなさんががよく利用する乗り物はなんですか (自転車,地下鉄,電車,バス)
- 学校は何学期ありますか (・・省略・・)
以上のように質問も小学校らしいものである。クラスの児童の興味関心、時の話題、それまでの学習の違いで質問も違ってくる。同じ学習でも、学校が違う、児童が違えば質問も変わってくる。以前の回答を使う前に、毎回質問をした方が興味関心がわく。教師は、同じであることが多いが、答える子供達は毎年変わっている。
W.学校からインターネットの問題点
小学校での最大の問題点は、英語の壁である。すべて教師が翻訳をしないとならない。しかも、児童の実態にあったように分かるように翻訳する必要がある。毎回、大量に返信が来て、すべて翻訳をすることが出来なかった。
実際の通信を児童に見て欲しいと思い、携帯電話を使い、教室からアクセスし、大型TVを使い実際の画面を児童に見せたが英語であるため実感がわかない。文字だけの情報だからしかたない。
交流する際の相手校との問題もある。日本は4月から新学期。諸外国は、9月が新学期。この半年のずれが大きい。新学期早々は出来ず、両国間で準備が整うのは、日本で言うと2学期後半から3学期という短い期間しかない。日本側が進級・卒業して終わる。
そして、最大の問題は、通信費。私の実践は、すべて私の個人負担。この学習をする度に数万円の出費。これは、仕方がない。現状では、学校での負担は難しい。学校の電話回線を使用することもその目的の違いから出来ない。(学校の電話は、事務連絡用であり授業用で予算が与えられていない)特に、インターネット回線の使用料の支払いは、クレジットや銀行振り替えで公的機関の支払方法になじまない。
X.私のインターネット記念日
この原稿を書いている10月22日は、私のインターネット記念日。
ダイヤルアップIP接続が成功し、初めて、MacWeb使ってネットサーフィン。原稿が進まずに、うれしくて世界各地のWWWを見ている。
学校でのインターネットの活用を考えると、児童には、画像・動画・音声と視覚的に訴えるWWWがいい。マウス1つでいろいろな情報が引き出せる。すでに、アメリカのいくつかの小学校がWWWを提供、日本でも山梨大学付属小学校のWWWにも児童の絵が入っている。
これからのインターネットの国際交流は、ビジュアルに。これだったら、英語の出来ない小学校にも出来る。残念ながら100校プロジェクトの応募することも出来なかったので、インターネットマガジン創刊号を参考にマックを買って,RIMNETに入り自宅からであるがインターネットフル接続の環境を作った。児童が自由に使うことができないのは残念であるが、AVマックなのでNTSC出力がありVTRやビデオフロッピーに録画出来るので教材として児童に提供することは出来る。また、教育におけるパソコン通信研究会のTEA−NETで、実験的にWWWサーバーのスペース提供しており、これで私のクラスでもホームページが出来たらと思っている。
インターネットの環境が一歩進んだが、これでさらに通信費がかかるとさらに悩みも増えた・・・
◎学校情報化の夜明け
今年、いよいよ学校もインターネットの夜明けが来た。ご存じ通り、通産省・文部省が募集したインターネットを使った100校プロジェクト。いよいよインターネットが一般の教員でも授業の中でつかる時代になった。電話回線1本で各国のコンピュータにつなげることの出来る道具は、教室を世界中の情報の海を旅する船に変えるばかりか、世界中の子ども達を結びつける事が出来る。学校教育の国際化、情報化が求められている中、まさにインターネットは学校教育そのものを変える起爆剤になりうる可能性を秘めている。。
インターネットは、教師・子どもの授業や活動の道具である。学校・教師の仕事は、いかにインターネットを有効的に日々の教育活動の中に使うか。そして、インターネットでなければ出来ないという授業をするかである。ある物の代替えとしてのインターネットではなく、インターネットの特徴を活かし授業が求められる。
読者の中には、同業の方もいらっしゃると思うが、他の業種からはもっと学校でこんな使い方があるのになぜつかわないと思われる方が多いと思う。そこで、始めに学校での現状、そして私がここ数年間、英語の出来ない小学生の授業の中でインターネットを使って取り組んできた事例を紹介したい。
学校は、公的機関であり数々の法律によって成り立っている。直接的に教師に関係するものに、文部省が出す学習指導要領というものがある。その学年で学習する内容と時間が示されている。私たちは、授業時数と呼んでいるが最低の授業時間が明記されておりこれをこなすことはノルマである。例えば、小学校5年生では、国語210時間、算数175時間と言うように決まっている。(1時間は、45分間である。)ここで問題なのは、ワープロの使い方を教えよう、インターネットを教えよう、インターネットで各国のWWWサーバーを見ても授業にならない。一般的に学習指導要領の内容にそった授業をした場合、その教科の授業となる。つまり、学校でコンピュータやインターネットを使う場合、学習指導要領にそった学習として成立するかが大きな問題である。インターネットの活用を広め、多くの教師・学校で使ってもらうためには、授業として効果をあげ、しかも容易に出来る方法でないとならない。
残念ながら私の勤務する区では100校プロジェクトの募集の受け付けをしなかった。いくつか理由はあるが、1つに子どものプライバシー保護の問題がある。区では、コンピュータにデータとして入力してよい項目を決めるぐらい、児童の個人情報保護には神経を注いでいる。インターネットの情報提供者となった場合、児童の個人情報の保護が完全に出来ると保証されないということである。インターネットにつなげること1つをとっても一般では考えられない問題が学校では起きている。
そんな問題を考えながらインターネットを使った実践を紹介する。本実践では、インターネット経由のメールを使うために、CompuServe、AEGIS、APICネットなどを利用している。よって、児童への説明及び文中には国際パソコン通信という言葉で説明している。