子どもが作る子ども向けホームページ
蓮見信夫
nobuo@hasumi.com
東京都板橋区立板橋第一小学校 教諭
要約:総合的な学習などで児童が学習のまとめ・情報発信の手段としてホームページを作成することが多い。板橋区立板橋第一小学校では、1996年よりの授業の中で児童が誰に向かって情報を発信するか明確にしながらホームページ作成してきた。ホームページとしては完成度は低いが、学校のホームページは子どもたちの物という観点で公開をしている。どのクラスもパソコン室に行き、授業の中でコンピュータを使い、楽しく学習できるように環境の整備を進めている。
キーワード:小学校、ホームページ、情報発信、総合的な学習、社会科、情報教育
1.はじめに
板橋区立板橋第一小学校では、1996年(平成8年)8月に児童用10台、教師用1台のwindows95のNECのコンピュータが導入された。ISDN1回線にて、12月に全コンピュータからインターネット接続が可能になった。翌97年2月、ホームページを公開した。ホームページ作成は、導入直後から行われている。ソフトウェア予算もなく、当時はNetscape gold(英語版)で、現在はNetscape Communicatorで進められている。現在ホームページは、区の施設(エコポリスセンター)内のサーバーにあり、学校から更新をすることが出来る。
しかし、本校ではコンピュータ台数の関係上、1台3〜4人となり児童がホームページを作成する場合非常に時間がかかるため、活発に行われているとは言えないのが現状である。
また、パソコン室にはサーバー機はないが、教師用のコンピュータにネットワークコンピュータで児童機が接続し、データの共有化をはかっている。本校では、フロッピーなど児童がコンピュータで個々にデータを保存することはない。これは、ホームページ作成の時など、データの共有化に非常に役立つ。
現在、ホームページに画像が増え、ISDN1回線では表示に時間がかかるため、パソコン室にキャッシュサーバーを設置している。
2.Webは、活動のほんの数パーセント。
Web、ホームページ作成は学校でのコンピュータ利用のほんの一部である。多くの学年・クラスがパソコン室を授業で使い、部屋の稼働率を上げることが担当者としての願いである。
各学年の実態に応じて、低学年・中学年では市販ソフトウェアを使って学習したり、ツール型ソフトウェアでハガキやカードを作成する。高学年では、インターネットを用いた情報検索が多く使われている。簡単な操作で、短時間で児童が楽しめ、学習効果の高い活用がもっとも喜ばれる。
ホームページ作成の為には、児童がキーボードから文字を入力する活動必要であり、教科や総合の時間をかなり必要とすることを考慮する必要がある。
本校のホームページは、校内的には視聴覚部担当であるが、視聴覚部の中でパソコン室が担当の私が更新をしている。
3.ホームページはこう作る。
本校では、Netscape Communicatorを用いている。このソフトウェアは、もちろん無料である。インターネット閲覧ソフトウェアとして、近年Internet Explorerの方が多く利用されているが、Netscape Communicatorの利点は、これ1つでインターネットの閲覧もホームページ作成も電子メールもできる。ブラウザで見て、そのままComposerに。その逆も容易に出来る。市販のホームページ作成ソフトウェアと比較すると機能は少ない。しかし、子どもが活動するのは十分すぎる機能があり、画面上のアイコンクリックするだけで出来るので分かりやすい。
ソフトウェアの操作方法は、教師機の画面を転送しながらこうやると説明するだけで児童が使えるぐらい簡単な
本校では、パソコンの台数が少ないため、コンピュータに向かっている児童より紙に向かっている児童を多く作り作業を分散する必要がある。取材したことをワークシートに書く。ホームページ作成シートに画面のレイアウトや内容を書く。それを模造紙に貼り、リンクを線で結ぶなどといった活動を取り入れている。
デジカメで撮影した画像を取り込む時、一覧表をどのように作るか、張り付けの方法をどうするかといった工夫もいる。
4.出していいこと、だめなこと
学校のホームページ場合、個人情報保護、著作権を子どもも意識する必要がある。板橋区の場合、子どもの名前が特定できない集合写真的な物は公開できる。どうしても児童の名前を出す必要がある場合は、姓はだめであるが名が出せる。また、児童がイラストを描くと有名キャラクターが多い。また、本をそのまま取り入れたりすることもある。これら、ホームページ作成に当たり、いいこと、だめなことを指導する必要がある。勿論、最後には担任が確認する。学校のホームページの責任者は、学校長にある。学校の指示と承諾のもと、ホームページを公開する決まりになっている。
5.ホームページは子どもの物
ホームページは、児童の情報発信の場である。教師がいくら時間と労力をかけて、よいホームページを作ったとしても、プロには負ける。
また全国の学校のホームページを見て何か同じように見えないだろうか。問題は、学校のホームページを誰を対象に作るかである。地域に対する広報的な物であれば、教師作成もよい。しかし、学校のホームページを見るのは、全国の子ども達ではないだろうか。学習の為に、交流の為に、検索し見つけてくれる。
子ども達が全国の子ども達に見せることを目的に作れば、必然的に子ども向けホームページの数が増え、学習に役立つ。
4年社会科で、東京に関するリンク集を作ろうがその活動にある。事前に電子メールにより同年代の子ども達の東京に対する意識や欲しい情報などを調査し作った。
欠点もある。完成度が低いことである。また、工事中は、その授業が終われば永久に工事中のままである。また、時間切れで中途半端もので終わることある。教師も忙しいが子どもも忙しい。完全な物を目指さず、気軽に実践することが大切だと思う。
6.ちょっとの反応
ホームページで情報発信して、見た人お手紙下さいで電子メールがくる時代は終わった。
学校には、調べ学習との関連で電子メールや手紙で子どもや大学生からのアンケートの依頼がくる。ホームページ公開と交流は別物で、交流は教師の打ち合わせのもと、計画的に行っていく必要がある。
保護者や来年度入学児童の保護者、卒業生からの電子メールが届くが数は多くない。電子メールは、印刷し管理職に提示し、返信の指示を受ける。3年生が作った商店街のホームページを見て、他の商店街からうちも入れてという電話を頂いたが、子どもが作ったことを説明し、要望に応えられなかった。
まだ自宅でインターネットを見られる家庭は少ないが、学校便り、学年・学級通信のかわりになることもある。さらに、学校を選択するにあたりインターネットでの情報が重要なことなることは考えられる。
7.更新はどうしよう、いつまで残そう
このように授業でつくるとその授業が終わる。進級する。クラス替え、担任が変わる。そして卒業する。基本的の一度作った物の更新は難しい。また卒業したホームページをどうするかの問題もある。これに関しては特に区の決まりも今のところない。サーバーのエリアもゆとりがあり、作った児童にとっては、自分の作品を見ることが出来、情報としても価値のあるうちは特に問題が起きない限りのこしている。
8.子どもは容易に作る。やってみよう。
Netscape Communicatorを使えば、子ども達は容易にホームページを作る。3年生から可能である。
「どんなことを誰に伝えたいのかな。」「その内容で分かるかな。」「見る人は、どう思うだろ。」ということを忘れずに、インターネットは、人と人とつなぐ道具という認識のもと子ども達とホームページを作ってみよう。